東寺では、うまく撮影できた試しがありません。
スケールの大きな伽藍の配置と平べったい境内。
夏に撮影した池の蓮の花くらいでしょうか、絵になった写真は。
ニョキッと突き出した五重塔は国内現存木造建築物ではもっとも高いといわれていますが、1644年再建の5代目だそうです。
初代は弘法大師空海が京都の東山で塔にふさわしい大木を見つけて切り出して、この地に運んだと記録に残っています。
朝廷に運搬協力の勧進を願い出たのが、西暦826年といいますから1200年も前のことです。
多くの農民たちが苦役に駆り出されたのでしょう。重機もない時代に高さ55mにもおよぶ木造建築物を建てるのですから、戯れでできるものではありません。
羅生門の東に位置する平安京の南の入り口の巨大な五重塔は、当時はもっと壮観だったでしょう。
平安京の北、北大路との標高差はこの塔の高さ同じ55mと言います。
この高低差で、鴨川は北から南に流れるわけです。
洛中のどこからもこの塔が見えたことがうかがえます。
そんなことを考えながら、空ばかり気にしていました。

