南信州木曽町の開田高原に、sovaを食べにいこうと…。
カーゴルームには、トレッキングの道具一式を積んである。
民宿や旅館泊まりでなくても、車中で脚を伸ばして快適に眠れる支度と仕様は整えている。
zcoboは「時香忘」という開田高原のそば処の自前の表記で、このおしゃれ感は名前からしてイタリアンな感じがする。
開田高原は信州でも指折りなソバの産地であり、店のロケーションも清流の脇にあり自然と共存して雰囲気がある。
駐車場からのアプローチは、まるで水を打った京の町家の風情を連想させる。
この雰囲気のなか、木道を奥に進んでいく。
まるで儀式のようである。
このプロセスからすでに、客は店主からの饗応を受けていることにきずく。
木道はL字に折れているが、角を曲がっても入り口は見えない。
見返り美人のように首を左にひねると、エントランスが見えてくる。
店主の奥さんとおぼしき美しい中年の女性が迎えてくれた。
店にはぐギャラリーも併設されており、店主と奥さんのインテリジェンスを感じる。
シンプルにもりそばを注文した。
ここの蕎麦、つなぎに信州独特の「おやまぼくち」という山菜の葉脈を使っているという。
やがてでてきた粗挽きの蕎麦は、素朴で野趣にあふれているが、なかなかどうしてその味わいは奥深く繊細な余韻が残る。
店の構えも蕎麦自体にも、チマチマしたところはなく、シンプルで実に豊かに世界が広がっている。
写真は取り忘れたが、そば湯も実によかった。
極粗挽きの蕎麦湯で、とろとろ滑らかな逸品で、ほかでなかなか味わえない。
そばつゆに注いで飲んでみても申し分なかった。じつにいい。
ボクは、好きだ。とても気に入った。
伝統を継承してそば打ちのこだわりどころは徹底するが、提供する全体像はまことにセンスがよくオシャレである。







