だいたい8月の灼熱の日中に、けっこうな距離を時間をかけて歩いていたのだから、ボクの身体は当然渇ききっていたはずで、身体の運びや思考力は鈍くなっていた。
街を移動するヒツジやヤギやウシカモシカの群れの中に紛れ込んでいるボクは、正直うんざりしてもいた。
草食動物の群の中では、個々の体温が重なり擦れ合っていっそう蒸れてくる。
熱にやられていた。
たどりついた日陰から出たくはなかった。
どこか病んだような痩せ細ったジャッカルがブッシュの脇で、小さくなっていた。
老いたりとはいえ、雑食のシルバーバックだという実に無意味な自負がボクの中で頭をもたげた。
まぎれこんでいた群れを抜けて、隣に伏せてもいいだろうか。
※名古屋市矢場町の交差点

GM1+M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8