香嵐渓の紅葉が、まったく深まっていなかったことに落胆していたことは、確かです。
香嵐渓の巴川をわたると見事な茅葺屋根の川見茶屋という茶店がありました。
お昼前なのですが、客はボクだけです。
雰囲気も良さそうなので、きな粉餅をいただこうと茶店の中に入りました。
茶店では、4.5人の女性が働いていました。
平日のお昼前です。繰り返します、客はボクだけでした。
「いいですか?・・・きな粉餅をください。」
ボクは、座敷には上がらず広い土間に並べられた、床几にカメラとバッグを置きました。
「先に、レジをお済ましください。」と声をかけられました。
これがいけません。
「いらっしゃいませ。」も言われてなければ、お茶の一杯もだされていません。
古民家を茶屋にしつらえて、昔のおっとりとした茶店風を再現してるのですから、昔風のおもてなしを期待するではないですか。
レジで女性が立って待っており、料金先払いを告げるのです。
荷を床几において、レジに行き財布を出しました。
あいにく一万円札しかなく、レジの中年の女性に一旦は渡したものの、急に腹立たしくなったのです。
「店構えと雰囲気から昔ながらの茶店の饗応を期待して、店にはいりました。せめて荷を置き床几に腰掛けるのを待って、茶の一杯でも出すおもてなしをした上の料金先払いならまだしも、ボクは注文しましたがお店はその注文に対して代金を支払わなければ応諾していないというなら、契約はまだ不成立ですね。どうやら古風な茶屋は見かけだけのようです。注文は取り消します。」とゆっくり静かにボクの考えを述べて、店を出たのでした。
あらら、またやっちゃった。
